2009年6月7日（日）　礼拝説教要旨
説教者：高田 厚 師

聖書箇所：箴言2章1〜22節

[1]わが子よ。もしあなたが、私のことばを受け入れ、私の命令をあなたのうちにたくわえ、 [2]あなたの耳を知恵に傾け、あなたの心を英知に向けるなら、 [3]もしあなたが悟りを呼び求め、英知を求めて声をあげ、 [4]銀のように、これを捜し、隠された宝のように、これを探り出すなら、 [5]そのとき、あなたは、主を恐れることを悟り、神の知識を見いだそう。 [6]主が知恵を与え、御口を通して知識と英知を与えられるからだ。 [7]彼は正しい者のために、すぐれた知性をたくわえ、正しく歩む者の盾となり、 [8]公義の小道を保ち、その聖徒たちの道を守る。 [9]そのとき、あなたは正義と公義と公正と、すべての良い道筋を悟る。 [10]知恵があなたの心にはいり、知識があなたのたましいを楽しませるからだ。 [11]思慮があなたを守り、英知があなたを保って、 [12]悪の道からあなたを救い出し、ねじれごとを言う者からあなたを救い出す。 [13]彼らはまっすぐな道を捨て、やみの道に歩み、 [14]悪を行うことを喜び、悪いねじれごとを楽しむ。 [15]彼らの道は曲がり、その道筋は曲がりくねっている。 [16]あなたは、他人の妻から身を避けよ。ことばのなめらかな、見知らぬ女から。 [17]彼女は若いころの連れ合いを捨て、その神との契約を忘れている。 [18]彼女の家は死に下り、その道筋はやみにつながる。 [19]彼女のもとへ行く者はだれも帰って来ない。いのちの道に至らない。 [20]だから、あなたは良い人々の道に歩み、正しい人々の道を守るがよい。 [21]正直な人は地に住みつき、潔白な人は地に生き残る。 [22]しかし、悪者どもは地から絶やされる。裏切り者は地から根こぎにされる。

説教要旨

知恵深いことを表すことばとして、「思慮深い」「洞察力に優れている」「判別力がある」などあげられます。これらの知恵は私たちの人生を悪や誘惑から守り、正しく導くものです。本日は箴言の２章から、本当の意味で私たち人間を生かす神の知恵と、その素晴らしさについて共に見ていきましょう。

＜人生の宝を得よとの勧め＞
この章は、知恵ある者が、若く、わきまえのない彼の弟子たちに語りかける内容です。まず冒頭の1〜4節において、知恵ある者が、彼の弟子たちに、熱心に“あるもの”を探求するよう勧めています。彼がここで勧めているものとは、「私のことば」「私の命令」（1節）ということばによって表されているように、知恵ある者の豊かな人生経験の中で体得された実践的な教訓のことを指します。そこには、神のことば（律法）を土台とした生き方があったのです。知恵ある者は、自分の弟子たちに、神のことばに従って生きる人生は真に素晴らしく最善のものであるという信仰の確信に基づいて、「銀のように・・・隠された宝のように、これを探り出す」（4節）ことを強く勧めているのです。

＜人生の宝とは神の知恵である＞
そのような神のことばを中心とした知恵の探求の結果、二つの宝を見出すことができると知恵ある者は証言しています。その宝とは、「主を恐れることを悟る」ことと、「神の知識を見出す」ことです。

「主を恐れる」とは、真の神を信じ、敬い、その戒めに従って生きることです。なぜ、神を恐れることが大切なのでしょうか。それは、真に恐れるべきお方を敬わない人は、恐れなくてもいいものを恐れるようになるからです。数学者パスカルはこの事実を的確に指摘しています。「恐るべき神を恐れないので、恐れなくてもいいものを恐れなければならない」。また、箴言29章25節には、「人を恐れるとわなにかかる」とあるとおり、人は、真に恐れるべき方を敬うがゆえに、善悪の正しい判断基準をもって、裏表のない生活を送ることができるのです。

「神の知識を見出す」とは、単に、唯一の神の存在を信じ、そのご性質を理解しているという意味ではなく、むしろそのことを前提として、神が私たちのために何をなそうとしているか、また、神が私たちに何を期待しておられるか、という意味です。そのような「神の知識」を見出すことは、物事の全体を正しく把握するために必要な神の視点を持つことになるのです。そのような視点は、物事を的確に認識させ、正しい判断力をもって、思慮深い人生へと導いていくのです。これこそが、この世の中では決して見出すことのできない神の知恵なのです。

最後に申し上げたいことは、“神の知恵”は現実の生活や行動と密接な関係があり、その中で本来の力を発揮するということです。この知恵を持たない人は、悪への誘い、性的な誘惑などから自分の身を守ることはできません。それゆえに、私たちは、自らに対しても語られている知恵ある者のことばに真剣に耳を傾け、神の知恵によって生きることを確立していく者となりましょう。