検見川聖書バプテスト教会
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  人にさばかれる神(2)  

2009年4月26日(日) 礼拝説教要旨
説教者:高田 厚 師

聖書箇所:ルカの福音書23章1〜12節

[1]そこで、彼らは全員が立ち上がり、イエスをピラトのもとに連れて行った。 [2]そしてイエスについて訴え始めた。彼らは言った。「この人がわが国民を惑わし、カイザルに税金を納めることを禁じ、自分は王キリストだと言っていることがわかりました。」 [3]するとピラトはイエスに、「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」と尋ねた。イエスは答えて、「そのとおりです。」と言われた。 [4]ピラトは祭司長たちや群集に、「この人には何の罪も見つからない。」と言った。 [5]しかし彼らはあくまで言い張って、「この人は、ガリラヤからここまで、ユダヤ全土で教えながら、この民を扇動しているのです。」と言った。 [6]それを聞いたピラトは、この人はガリラヤ人かと尋ねて、 [7]ヘロデの支配下にあるとわかると、イエスをヘロデのところに送った。ヘロデもそのころエルサレムにいたからである。 [8]ヘロデはイエスを見ると非常に喜んだ。ずっと前からイエスのことを聞いていたので、イエスに会いたいと思っていたし、イエスの行う何かの奇蹟を見たいと考えていたからである。 [9]それで、いろいろと質問したが、イエスは彼に何もお答えにならなかった。 [10]祭司長たちと律法学者たちは立って、イエスを激しく訴えていた。 [11]ヘロデは、自分の兵士たちといっしょにイエスを侮辱したり嘲笑したりしたあげく、はでな衣を着せて、ピラトに送り返した。 [12] この日、ヘロデとピラトは仲よくなった。それまでは互いに敵対していたのである。

説教要旨

この章は1節から25節までローマ側による三つの裁判が記されています。本日は、その内の二つの裁判(ユダヤ総督ピラトとガリラヤの国主ヘロデによる裁判)を通して、イエス様の裁判に関わった三種類の人たちを見ていきましょう。

<妬みに燃えるユダヤ人指導者たち>
まず、イエス様を捕えて罪に定めようとしたユダヤ人の指導者たち。彼らは表面的には宗教的敬虔さを装い、自分たちは神のみこころを行っていると確信していました。しかし、彼らの実態は「白く塗った墓」(マタイ23章27節)のように内なる罪と汚れに満ちていたのです。

マタイは彼らがイエス様をピラトに引き渡した動機が「妬み」であったことを証言しています。そのような彼らでしたから、自分たちの目的を果たすために、「この人はわが国民を惑わし、カイザルに税金を納めることを禁じ・・・」(2節)と平気で偽りの証言をしたのです。彼らは、目の前に自分たちの救い主がいるにもかかわらず、その事実を決して認めることができず、最後まで拒んでしまったのです。

<自己保身に走るポンテオ・ピラト>
次はローマ総督ピラトです。彼は、ローマ帝国の総督として、ユダヤに赴任していた人物です。通常は港町カイザリヤに駐屯していましたが、この時は、年に一度の「過越の祭」の警護のため、エルサレムに来ていたのです。彼の任務はローマの平和(パクスロマーナ)を保つことでした。ですから、祭りの期間中、ユダヤ人による騒動が起こらないよう細心の注意を払っていたのです。彼は、裁判の被告として連れて来られたイエス様を取り調べたとき、「この人には何の罪もない」(4節)と無罪を認めたものの最終的には自己保身に走り、ユダヤ人たちに妥協してしまったのです。

<自分の心を楽しませるヘロデ・アンティパス>
最後はガリラヤの国主ヘロデ・アンティパスです。この時ヘロデは「過越の祭」に出席するため神殿のあるエルサレムに来ていたのです。彼にとってイエス様という存在は、「ずっと前から・・・会いたいと思っていた」(8節)とあるように、とても興味を引く存在であったようです。しかし、その動機は、自らの霊的な必要に対する飢え渇きではなく、「何かの奇跡を見たい」(8節)という肉的な思いであったのです。このようなヘロデのイエス様に対する態度は、まるで見せ物をする人に対してとるものだと言えます。自分の心を楽しませることだけを考えている人は、目の前に救い主がいるにも関わらず、そのことに少しも気付かないのです。

以上、イエス様の裁判に関わった三種類の人を見てきました。それぞれに立場や関心は異なりますが、彼らに共通して言えることは、目の前に真の救い主がいるにも関わらず、そのことに全く気が付かないということです。それゆえ、自らの救い主としてイエス様を信じることができなかったのです。私たちは、この世にあって、真の救い主が誰であるかに気付き、その方を信じるという特権に預かっています。その素晴らしい恵みを覚えつつ、心から感謝する者となりましょう。

 
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