検見川聖書バプテスト教会
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  復讐について(1)  

2007年9月30日(日) 礼拝説教要旨
説教者:高田 厚 師

聖書箇所:マタイの福音書5章38〜42節

[38]『目には目で、歯には歯で。』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 [39]しかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。 [40]あなたを告訴して下着を取ろうとする者には、上着もやりなさい。 [41]あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい。 [42]求める者には与え、借りようとする者は断わらないようにしなさい。

説教要旨

5番目の対立命題は「復讐」についてです。神の国の民とされている者が、危害(損害)を加えてきた相手に対してどのような態度をとるべきか、そのことをイエス様は明らかにしておられます。

<「復讐」とは何か>
辞書によれば「復讐とは、ひどい仕打ちをしてきた相手に対してやり返すこと」と定義されています。毎年年末になると決まってテレビで上映される「忠臣蔵」。日本人に馴染み深い仇討ち物語です。主君の恨みを果たすために死を覚悟で討ち入りをする赤穂浪士の姿に共感する人も多いのではないでしょうか。仇討ちは明治初年に禁止されましたが、「されたら仕返しを」という思いは、現代においても日本人の心の中に深く根を下ろしているように思います。

<旧約聖書における「復讐」規定>
旧約聖書は復讐に関して規定(出エジプト記21章24節、レビ記24章20節、申命記19章21節)していますが、有名なフレーズは『目には目で、歯には歯で。』です。この規定は「同態復讐法」、「同害報復法」と呼ばれ、古代中近東では珍しいものではなかったようです。この規定の意味するところは、もしある人から「目」や「歯」に害を受けるようなことがあれば、その人に対して同程度の罰を与えてもよいが、それ以上の罰は下してはいけない、というものでした。あくまでも被害者が加害者に対して憎しみのあまり過剰な報復に走らないよう制限することが目的だったのです。創世記34章には、ヤコブの息子達による際限なき復讐の具体例が記されています。

<復讐規定の真意を明らかにするイエス様>
旧約聖書における復讐規定は、大変素晴らしいものであったにもかかわらず、イエス様の時代の律法学者やパリサイ人たちは、復讐を制限するための規定というよりも、むしろ復讐することを言い張るための根拠にしていたのです。このような人々に対して、イエス様は律法の精神に立ち返るよう勧めています。「しかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向かってはいけません。」(39節)。イエス様は本来なら抵抗すべき「悪い者」に対して、「手向かってはいけません。」と言うことで、復讐規定の精神を明らかにしているのです。なぜでしょうか。それは「悪い者に手向かわない」という態度こそが、復讐の連鎖を断ち切る唯一の手段だからです。

誤解してはならないのは、イエス様は私たちに無抵抗で良いと言っているのではありません。私たちは自分や家族の身を守る責任があり、悪をなす人は必ず裁きを受けなければなりません。ここでイエス様が言われていることの中心は、私たちが復讐心そのものから解放されることにあるのです。福音によって罪の赦しを受けた者は、たとえ悪をなす人であってもキリストにあって赦すことができるようになる。ゆえに復讐の連鎖を断ち切ることができるのです。

最後に覚えましょう。神の国の民とされている特権の素晴らしさを。人を恨み、憎しみ続ける生き方から解放されるのみか、人を愛し、赦す生き方に変えられるという恵みです。お互いに愛の連鎖を生み出すことで、この特権を大いに行使する者となろうではありませんか。

 
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